部下が相談してくれるのは日頃の積み重ね|気にかけるということ【女性職場④】

女性職場

いろんな相談が、集まってくる

今、僕のところには、いろんな相談が集まってきます。

職場の人間関係のこと。自分のキャリアのこと。家族の病気のこと。働き方のこと。夫婦の間のこと。家での子育てのこと。本当に、さまざまです。書ききれないほど、いろんな話を聞かせてもらっています。

でも、最初からこうだったわけではありません。外から管理職として入ったばかりのころは、当然ながら、誰も本音なんて話してくれませんでした。当たり前です。どこの誰かも分からない人に、自分の家庭の事情やキャリアの悩みを打ち明ける人は、いません。

では、なぜ今は、相談してもらえるようになったのか。振り返ってみると、そこには日頃の小さな積み重ねがあったように思います。

誕生日を、さりげなく

その一つが、誕生日です。

ただ、ここには少し慎重になる必要があります。誕生日は個人情報です。全員の誕生日を管理職が把握して回るというのは、正直なところ、際どいことでもあります。だから僕がやっているのは、あくまで自然な範囲でのことです。

たとえば、面接のとき。履歴書に生年月日が書いてありますから、そこで自然と目に入ります。だから面接の場で、「今月お誕生日なんですね、おめでとうございます」と声をかけることがあります。「七月生まれなんですね、僕も同じですよ。夏は好きですか」なんて話をすると、緊張していた面接の空気が、ふっと和んだりします。

ある園では、職員同士がお互いの誕生日に声をかけ合う習慣がありました。そういう文化があると、自然と覚えていきます。あきたこまちネットでは、スタッフの誕生日に、LINEグループでみんなで「おめでとう」を伝えます。

大事なのは、ぐいぐい踏み込まないことです。よく話している相手の、自然と知り得た範囲で。相手が嫌がらないラインを守りながら、でも、ちゃんと見ている。その節度こそが、かえって信頼につながるのだと思います。

笑顔と、清潔感

もう一つ、意識していることがあります。笑顔と、清潔感です。

これは、自分のためではありません。相手のためです。

いつも笑顔でいる人には、話しかけやすい。不機嫌そうな人、気難しそうな人には、誰も近づきたくありません。話しかけたら嫌な顔をされるかも、と思ったら、相談どころではないからです。だから僕は、できるだけ機嫌よく、笑顔でいるように心がけています。

清潔感も同じです。清潔感のある人には、安心して近づけます。これも、相手が近づきやすくするための、一つの気配りだと思っています。

笑顔も清潔感も、些細なことに見えるかもしれません。でも、これらは「あなたに話しかけてもいいですよ」という、無言のサインなのです。

だから、話してもらえる

誕生日の声かけも、笑顔も、清潔感も、一つひとつは小さなことです。

でも、こうした小さな気にかけを、日々積み重ねていく。すると、少しずつ「この人には話しかけてもいいんだ」という空気ができていきます。そして、いつか本当に困ったとき、「この人になら話せる」と思ってもらえる。

相談の中身は、ここには書きません。一つひとつが、その人にとって大切な、打ち明けにくい話だからです。でも、これだけ幅広い相談が集まってくること自体が、日頃の小さな気にかけが実を結んだ結果なのだと、僕は感じています。

気にかけるというのは、特別なことをすることではありません。日々、相手のことを少しだけ見て、少しだけ心を寄せる。その積み重ねが、信頼になっていくのだと思います。

三つの立場から考える

研修講師として、事務長として、そして一人の管理職として。この経験から、三つのことをお伝えしたいと思います。

講師の立場から言えば、気にかけることには、節度が必要です。相手を思うあまり、プライベートに踏み込みすぎれば、それは気配りではなく、負担になります。誕生日一つとっても、個人情報だという意識を忘れてはいけません。相手が心地よいと感じる距離を守りながら、それでも見ている。その加減が、大切です。

事務長の立場から言えば、笑顔と清潔感は、立派なマネジメントです。難しい理論を学ばなくても、機嫌よくいること、清潔でいること、それだけで、部下は話しかけやすくなります。上に立つ人が不機嫌でいることの罪は、思っているより大きいのです。

そして一人の管理職として言えば、相談されるというのは、日々の積み重ねの結果だということです。いざというときだけ「何でも相談してね」と言っても、人は話してくれません。普段から少しずつ気にかけているからこそ、本当に困ったときに、頼ってもらえる。信頼は、一日にしてならず。小さな気にかけの、その先にあるのだと思います。

あなたは、部下のことを、日頃どれだけ気にかけているでしょうか。特別なことは、いりません。笑顔で挨拶すること。誕生日にさりげなく一言添えること。その小さな一歩から、信頼は始まっていくのだと思います。


アンガーマネジメントや管理職のあり方についての研修は、一般社団法人日本アンガーマネジメント協会の公認講師としてお引き受けしています。イクボスや両立支援についてはこちら、福祉施設向けの研修についてはこちらもあわせてご覧ください。

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