「研修」というと何を思い浮かべますか?
研修センターでの集合研修、外部講師を招いたセミナー、eラーニング——多くの管理職が「研修=特別な場で行うもの」というイメージを持っています。
僕自身もそうでした。しかし先日参加した研修担当者向け研修(秋田県社会福祉協議会主催)での気づきが、その認識を大きく変えました。
人材育成の80%はOJTです。
人材育成の3形態と割合
人材育成には3つの形態があります。
OJT(On the Job Training):80% 日常の業務を通じた育成。上司や先輩が日々の仕事の中でスタッフを指導・支援すること。
OFF-JT(Off the Job Training):15% 職場を離れた集合研修や外部研修。研修センターでの講座、外部セミナーへの参加など。
SDS(Self Development System):5% 自己啓発。読書、資格取得、通信講座など、スタッフが自主的に学ぶこと。
この割合を見て、どう感じますか?
「研修=OFF-JT」と思っていた方には、かなり意外な数字ではないでしょうか。人材育成のほとんどは、特別な研修の場ではなく、日常の業務の中で行われているのです。
OJTをしている自覚がない管理職が多い
ここに大きな問題があります。
OJTをする側(管理職・先輩)も、される側(スタッフ・後輩)も、それを「研修」と意識していないことがほとんどです。
「ちょっとこれ教えて」「この案件、一緒に対応しよう」「あの件どうだった?」——こういった日常の会話や業務が、実はOJTです。しかしそれを「人材育成の場だ」と意識している管理職はどのくらいいるでしょうか。
意識していないということは、質を高めようとしていないということでもあります。
日々のスタッフへの接し方が、そのまま人材育成になる
逆に言えば、OJT=人材育成と捉えると、こんなことが見えてきます。
管理職の日々の言動が、すべてOJTになっている。
- 部下に指示を出すとき → その言葉の質がOJTの質になる
- 部下がミスをしたとき → 叱り方がOJTになる
- 部下が相談してきたとき → 聞き方・答え方がOJTになる
- 会議での発言 → 問題解決の思考プロセスがOJTになる
- 管理職自身の働き方 → ロールモデルとしてのOJTになる
このブログでこれまでお伝えしてきた「正しい叱り方」「伝え方の技術」「1on1の進め方」「フィードバックのコツ」——これらはすべて、OJTの質を高めるための技術です。
外部研修だけ充実させても、人材は育たない
「年に一度、外部研修に参加させている」「月に一回、集合研修を実施している」——これだけで「研修はやっている」と思っている管理職は多いです。
しかし外部研修(OFF-JT)が占める割合はわずか15%です。残りの80%のOJTが機能していなければ、いくら外部研修に投資しても人材育成の効果は限定的になります。
逆に言えば、日常のOJTの質を上げることが、最もコストパフォーマンスの高い人材育成策です。
OJTを意識することで何が変わるか
「日常の業務がOJTだ」と意識するだけで、管理職の行動は変わります。
意識前:「とりあえず指示を出す」「ミスをしたら注意する」「質問に答える」
意識後:「この指示で相手は何を学べるか?」「このミスから何を気づかせるか?」「この質問への答え方で何を伝えるか?」
同じ行動でも、OJTを意識しているかどうかで、スタッフへの影響が変わります。
まとめ:管理職の日常を「意識的なOJT」に変える
人材育成の構造を改めて整理します。
| 形態 | 割合 | 具体例 |
|---|---|---|
| OJT | 80% | 日常業務での指導・支援・フィードバック |
| OFF-JT | 15% | 集合研修・外部セミナー・社内勉強会 |
| SDS | 5% | 読書・資格取得・自主学習 |
管理職が最も影響を与えられるのは、80%を占めるOJTです。
「研修は特別な場でするもの」という認識を手放し、「日々のスタッフとの接し方が人材育成だ」という意識に変える。この転換が、職場全体の成長につながります。
次回は、OJTを意識的に実践するための具体的な方法をお伝えします。
よくある質問
Q. OJTとただの業務指示の違いは何ですか?
「相手の成長を意識しているかどうか」が最大の違いです。同じ指示でも、「この経験を通じて何を学んでほしいか」を考えながら行うことがOJTです。意識するだけで、言葉の選び方や関わり方が変わります。
Q. 忙しくてOJTに時間を割けません。どうすればいいですか?
OJTは特別な時間を作る必要はありません。日常の業務の中で「少し意識を変えること」から始まります。指示を出すとき、フィードバックをするとき——その瞬間にOJTを意識するだけで、日常がそのまま人材育成の場になります。
Q. OJTについて体系的に学ぶにはどうすればいいですか?
あきたこまちネットの研修・セミナーでは、管理職向けのOJT実践についてもお伝えしています。日本アンガーマネジメント協会の研修と組み合わせることで、OJTの質をさらに高められます。
管理職向けの研修・セミナーのご案内はこちらからご確認いただけます。












