「イクボス十か条」、自分は実践できていますか?
NPO法人ファザーリング・ジャパンが提唱するイクボス十か条には、こんな内容が含まれています。
「部下のワークライフバランスを支援する前に、まず自分自身のワークライフバランスに目を向けること」
これを聞いて、「自分はできている」と自信を持って言える管理職は、どのくらいいるでしょうか。
部下には「プライベートを大切に」と言いながら、自分は休日も仕事のことを考えている。部下の育休取得を支援しながら、自分は有給休暇を消化できていない——こういった矛盾は、職場でよく見かけます。
イクボスは、まず自分自身から始まります。
人生100年時代、定年後の自分を想像していますか?
管理職として仕事に全力を注いできた結果、定年を迎えたとき、何が残っているでしょうか。
人生100年時代と言われる今、65歳で定年を迎えても、その後に35年以上の人生が続きます。仕事だけに時間とエネルギーを注いできた人が、定年後に「何をすればいいかわからない」という状態になるケースは少なくありません。
趣味がない、友人がいない、家族との関係が希薄——仕事一筋で生きてきた代償が、定年後に出てくることがあります。
管理職こそ、今から「仕事以外の自分」を育てておく必要があります。
ライフステージに合わせて優先順位を変える
僕自身の経験をお伝えします。
子どもたちが小さかった頃(1歳〜中学生の時期)は、徹底して子ども中心の生活でした。趣味は軽くやる程度で、育児と家事に全力を注いできました。仕事も上手に割り振りして、家族の時間を確保することを優先していました。
しかし子どもたちが大きくなり、子育てに充てていた時間が空いてきた今は、自分の趣味の時間をたくさん持てるようになっています。トロンボーン、ランニング、鉄道、旅行——以前はなかなかできなかったことに、今は積極的に時間を使っています。
これはライフステージに合わせて、意識的に優先順位を変えてきた結果です。
趣味と育児を同時に全力でやろうとすると、何かが壊れる
ファザーリングスクールでもよく話すことですが、こういったケースがあります。
子どもが小さい頃、育児家事にかける時間を削って趣味を続けようとする。するとパートナーへの負担が増え、仕事も残業が続いて家に帰れない。パートナーシップがうまくいかなくなり、最悪の場合は離婚——というケースは、決して珍しくありません。
「趣味を続けたい」という気持ちは自然なことです。しかしライフステージを無視して、すべてを同時に全力でやろうとすることには無理があります。
今の自分のステージで、何を優先するかを意識的に選ぶこと。これがワークライフバランスの本質です。
「時間を作り出す」ことが最初の一歩
ワークライフバランスを実現するために、最も大切なことは何か。
まず時間を作り出すことです。
「忙しくて時間がない」という管理職は多いですが、時間は待っていても生まれません。仕事の断捨離、業務の効率化、任せることの実践——これらによって初めて、自分の時間が生まれます。
今はAIの発展もあって、仕事を効率的かつ時短で進められるようになっています。AIを活用することで、以前より多くの自分の時間を作れるようになりました。
時間を作り出すことができて初めて、趣味も家族との時間も、自己投資も実現できます。
自分のワークライフバランスが、職場を変える
管理職自身がワークライフバランスを実践していると、職場に何が起きるでしょうか。
「上司が定時に帰っている」「上司が趣味を楽しんでいる」「上司が家族との時間を大切にしている」——これを見たスタッフは、「自分もそうしていいんだ」と感じます。
逆に、管理職が休日も仕事のメールを送り、有給休暇を取らない職場では、スタッフも休みにくくなります。管理職の生き方が、そのまま職場の文化になります。
イクボスとは、自分のワークライフバランスを実践することで、周囲にもその文化を広げていくリーダーです。
まとめ:今日の「自分時間」が、将来の自分をつくる
定年後に「何をすればいいかわからない」と後悔しないために、今から「仕事以外の自分」を育てておきましょう。
ライフステージに合わせて優先順位を変え、意識的に時間を作り出し、趣味や家族との時間を大切にする。その積み重ねが、人生100年時代を豊かに生きる管理職像につながります。
そして、その姿がそのまま、職場のイクボス文化をつくっていきます。
よくある質問
Q. 仕事が忙しくて自分の時間を作れません。どこから変えればいいですか?
まず「今やっている仕事のうち、本当に自分がやるべきものはどれか」を棚卸しすることから始めましょう。任せられる仕事を一つ手放すだけで、時間の感覚が変わります。断捨離とAI活用を組み合わせることで、思った以上に時間が生まれます。
Q. 子育て中でワークライフバランスを取るのが難しいです。
子育て期は、仕事・育児・趣味のすべてを全力でやろうとすると無理が生じます。今のライフステージで何を優先するかを意識的に決め、残りは「今は軽くやる程度でいい」と割り切ることが大切です。子育てに全力を注いだ時間は、必ず後で返ってきます。
Q. イクボスについて詳しく学ぶにはどうすればいいですか?
NPO法人ファザーリング・ジャパンのイクボス研修や、あきたこまちネットの研修・セミナーで、自分自身のワークライフバランスから始めるイクボスの考え方を学べます。
イクボス研修・アンガーマネジメント研修のご案内はこちらからご確認いただけます。













