「管理職もAIを使うべき」と言われても
「AIを業務に取り入れましょう」という話を聞くと、管理職の方からよくこんな質問をいただきます。
「部下の評価や指導にもAIを使うんですか?」「人事面談にAIを活用するんですか?」
率直に言うと、僕自身はそこにAIを使うべきだとは思っていません。今回は、AIを使うべき場面と、使わない方がいい場面について、僕自身の実体験をもとにお伝えします。
AIを使わない方がいい場面:人と人のコミュニケーション
管理職の仕事の中心は、部下とのコミュニケーションです。これまでの記事でお伝えしてきた「事実で伝える」「理由を添える」「1on1で聞く」——これらはすべて、人間同士の関係性の中でしか成立しないものです。
基幹システムによる勤怠管理や評価記録など、データの管理にAIやシステムを活用するのは合理的です。しかし、部下の気持ちを理解する、信頼関係を築く、励ます、叱る——こういった場面にAIが入り込むと、むしろ違和感が生まれます。
部下が悩みを相談したときに「AIに分析してもらいました」と言われたら、どう感じるでしょうか。人と人のコミュニケーションは、人がやるからこそ意味があります。
AIを使うべき場面:日常業務の効率化
一方で、日常業務の効率化には、AIは非常に有効です。
僕自身、日常の業務でAIをかなり活用しています。文章の整理、資料の下書き、アイデア出し——AIに任せることで、時間と質の両方が改善されます。
ここで大切なのは、**「AIに丸投げする」のではなく、「AIと一緒に作業する」**という感覚です。AIが出してきた案を見て、自分の経験や現場の感覚で修正する。この往復作業によって、一人で作るより早く、質の高いものができます。
「教える」より「一緒にやる」
僕がスタッフと関わる中で意識しているのは、AIの使い方を教えるのではなく、一緒に使ってみることです。
スタッフが担当している業務を見て、「これ、こういう使い方をすればもっと改善できて、時間もかけずに質も良くなるかもね」と提案する。そして実際に一緒に作業してみる。
一方的に「AIを使いなさい」と指示するのではなく、隣で一緒に試すことで、スタッフも「自分にもできそう」と感じられます。新しいツールへの抵抗感は、誰かと一緒に試すことで小さくなります。
なぜ「人と人のコミュニケーション」にAIを入れないのか
管理業務はすでに基幹システムで多くの部分がデジタル化されています。勤怠、評価記録、シフト管理——こういったデータ処理の領域は、もともとシステムが担っている部分です。
そこにさらにAIを重ねるとしても、それは「データ処理の延長」です。問題は、コミュニケーションそのものをAIに代替させようとする発想です。
部下を理解しようとする努力、感情に向き合う対話——これらは効率化できるものではありません。むしろ、効率化しようとすることで、関係性が損なわれます。
これまでお伝えしてきたアンガーマネジメントやイクボスの考え方は、すべて「人が人と向き合う」ことを前提にしています。AIはその土台を支える道具であって、土台そのものを置き換えるものではありません。
まとめ:AIは道具、コミュニケーションは人
管理職がAIと向き合うときの整理はシンプルです。
- 日常業務の効率化 → AIと一緒に試す
- 部下とのコミュニケーション → 人が向き合う
AIを「使うか使わないか」で考えるのではなく、「どこに使うか」を意識することが大切です。そして、スタッフにAIの活用を広げるときは、教えるのではなく一緒に試す姿勢が、組織への浸透を早めます。
よくある質問
Q. AIを使うことに抵抗があるスタッフにはどう伝えればいいですか?
「使いなさい」と指示するより、「一緒にやってみよう」と誘うことが効果的です。実際に隣で作業して、効果を体験してもらうことで、抵抗感は小さくなります。
Q. AIを使うことで仕事が減って、スタッフの仕事がなくなるのではと心配されることがあります。
AIは作業時間を短縮するものですが、生まれた時間を何に使うかが重要です。効率化で生まれた時間を、人と人のコミュニケーションや、より創造的な仕事に使うという視点を共有することが大切です。
Q. 管理職自身がAIに詳しくない場合、どう始めればいいですか?
完璧に理解してから使う必要はありません。まずは簡単な文章作成や情報整理など、身近な作業から試してみることをお勧めします。詳しくは研修・セミナーページでもご相談に応じています。
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