産休・育休スタッフを支える管理職の役割|「戻ってきてよかった」と思える職場のつくり方

職場復帰を支えるのは、制度より「関係性」

産休・育休制度は整ってきました。しかし「制度があるから大丈夫」では、本当の意味での両立支援にはなりません。

スタッフが「この職場に戻ってきてよかった」と感じられるかどうかは、制度ではなく管理職の関わり方で決まります。

今回は、僕があきたこまちネットや保育園の管理職として実践してきたことをお伝えします。


産休に入る前から始まっている

両立支援は、産休に入る前から始まっています。

僕が実践していることの一つが、唐松神社のお守りを渡すことです。秋田では安産祈願で有名な神社で、産休に入るスタッフへのお守りを買って渡しています。

「制度として当然のことをしているだけ」では、スタッフの心には届きません。「あなたのことを心配している」「無事に産んでほしい」という気持ちが伝わることで、スタッフは安心して休みに入れます。

そしてこの関係性があるからこそ、育休中に赤ちゃんを連れて何度も職場に遊びに来てくれます。これは義務でも業務でもありません。「戻りたい職場」だから自然に来てくれる。この事実が、職場の空気を物語っています。


復帰後に最初に確認すること

復帰後、最初に確認するのは業務の話ではありません。

  • 本人の体調・産後の変調はないか
  • パートナーの協力は得られているか
  • 子どもの生育や体調に変わりはないか
  • 保育園(こども園)で感染症が流行っていないか

これらを把握することで、事前対応ができます。

スケジュールを前倒しで準備する、急に出社できなくなっても代わりを用意しておく、誰もカバーできないような状態にしない——これらはすべて、事前に状況を把握しているからこそできる対応です。

「急に休まれると困る」と感じる管理職は多いですが、急な対応が必要になる前に準備できるかどうかが、管理職の力量です。


「本人が問題ない時期」に自分が不在にする

これは少し意外に思われるかもしれませんが、僕が意識的にやっていることがあります。

子どもも本人も体調に問題がない時期を把握した上で、その時期に東京出張など、自分が会社を離れるスケジュールを入れるようにしています。

逆に言えば、子どもが体調を崩しやすい時期や、本人が不安定になりやすい時期には、できるだけ近くにいるようにする。この配慮が、スタッフの安心感につながります。


頑張っているスタッフへの「労い」を忘れない

育休取得者を支えている間、職場に残って頑張っているスタッフがいます。この人たちへの配慮も、管理職の大切な役割です。

僕がよくやるのは、出勤時にデザートの差し入れをすることです。「みんなが頑張ってくれているから、職場が回っている」という気持ちを、言葉だけでなく行動でも示す。

小さなことですが、「見てくれている」「気にかけてくれている」という感覚が、スタッフの意欲につながります。


「人は頼り、頼られる関係にある」

管理職と部下の関係は、一方通行に見えることがあります。指示する、報告する、共有する——どれも一方向のように感じるかもしれません。

しかし本来は、一つの目的に向かってみなで助け合い、支え合い、分かち合う関係です。「お互い様」という感覚が職場に根づいたとき、育休取得者もカバーするスタッフも、誰もが安心して働ける職場になります。

産休・育休の両立支援は、取得するスタッフだけの問題ではありません。チーム全体の働き方と、管理職のリーダーシップが問われています。


まとめ:両立支援は「制度」より「関係性」

産休・育休スタッフを支えるために、管理職ができることをまとめます。

タイミング 実践すること
産休前 お守りを渡すなど、人として関わる
育休中 職場との縁を切らない雰囲気をつくる
復帰後 体調・家庭状況を把握し、事前対応する
常日頃 頑張るスタッフへの労いを忘れない

制度を整えることは出発点です。しかしその先に、管理職の人としての関わりがあって初めて、「戻ってきてよかった」という職場ができます。


よくある質問

Q. 育休取得者のカバーで、残るスタッフの負担が増えることへの不満はどう対処すればいいですか?

まず不満を持つことは自然な感情として受け止めましょう。その上で「お互い様」という文化を育てることが大切です。カバーしているスタッフへの労いを言葉と行動で示し、「自分が休むときも同じように支えてもらえる」という安心感を職場全体に作ることが解決の鍵です。

Q. 復帰後のスタッフが「迷惑をかけている」と感じて萎縮しています。どう対応すればいいですか?

「迷惑をかけている」という感覚は、職場の空気から生まれます。管理職が「お互い様だから気にしなくていい」と繰り返し伝えることと、実際に助け合う行動を示すことが、萎縮を解消する近道です。

Q. 両立支援に取り組む管理職向けの研修はありますか?

NPO法人ファザーリング・ジャパンのイクボス研修や、あきたこまちネットの研修・セミナーで、両立支援と管理職の役割について具体的にお伝えしています。


イクボス研修・両立支援に関する研修のご案内はこちらからご確認いただけます。

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