「育休、取りたかったんですが、なかなか言い出せなくて…」
先日、ある企業研修でこんな声を聞きました。子どもが生まれた男性スタッフが、上司に言い出せないまま有給休暇を細切れに使って乗り越えた、という話でした。
法律では、育児休業は労働者の権利です。でも「権利はあっても言い出せない」という職場が、まだたくさんある。あなたの職場はどうですか?
なぜ部下は「育休を取りたい」と言えないのか
部下が育休を言い出せない理由は、大きく3つあります。
① チームへの罪悪感 「自分が休むと、みんなに迷惑がかかる」という思いが先に立ちます。これは、普段のチーム体制と管理職の言動が影響していることが多いです。
② キャリアへの不安 「育休を取ったら評価が下がるかも」という恐れ。上司が無意識に「仕事第一」という価値観を発信していると、こうした不安が生まれやすくなります。
③ 前例がないことへの孤独感 職場で育休を取った人が一人もいない場合、「自分が最初になること」への心理的プレッシャーは相当なものです。
これらはすべて、管理職の言動と職場の空気が作り出しています。部下の問題ではなく、職場環境の問題です。
イクボスが実践する「言い出せる職場」の3つのアクション
アクション① 管理職が”取得支援者”であることを宣言する
大切なのは、管理職が「育休は取っていい、取らせたい」というスタンスを日頃から明示的に示すことです。一度言うだけでは足りません。日常的な会話の中で繰り返し伝えることで、「ここは言える場所だ」という安心感が育ちます。
私は保育園の管理職として、スタッフが妊娠・育休に入るたびに「おめでとう。安心して休んでね。仕事のことは任せて」と声をかけてきました。最初は言葉だけでも、続けることで職場の空気は必ず変わります。
アクション② 業務の「属人化」をなくす
「自分がいないと回らない」と感じさせてしまっているのは、実は管理職の責任です。日頃から業務を見える化し、誰でも対応できる仕組みをつくっておくこと。これが育休取得のハードルを劇的に下げます。
業務マニュアルの整備、チームでの情報共有の徹底、定期的な業務棚卸しが有効です。「誰かが長期休暇を取っても困らない体制」は、日常のマネジメントで作れるものです。
アクション③ 面談で「先手」を打つ
1on1や定期面談で「プライベートで何か変化はありましたか?」と聞く習慣を持つ。これだけで、部下が切り出しやすいタイミングを提供できます。
育休の話が出たら「教えてくれてありがとう。一緒に考えましょう」と受け止める。否定も困惑も見せず、まず受け取る。これだけで信頼感は大きく変わります。
「言い出せない職場」から「言い合える職場」へ
私がNPO法人ファザーリング・ジャパン東北の代表理事として各地の企業研修に伺うと、「男性育休をどう進めればいいかわからない」という管理職の声を本当によく聞きます。
正直に言えば、私も最初はそうでした。「俺のときはそんな制度なかった」という感覚がどこかにあった。でも、ファザーリング・ジャパンの活動を通じて気づいたのです。「育休を取れる職場は、全員にとって働きやすい職場だ」と。
保育園でも、スタッフが安心して休める体制を整えたことで、かえってチームの連携が強くなりました。「誰かが抜けても回せる力」が組織に育ちました。産休・育休から戻ったスタッフが「戻ってきてよかった」と言ってくれたときの喜びは、今でも忘れられません。
イクボスとは「言い出せる空気」をつくるリーダー
育休取得を促進することは、単なる”いい話”ではありません。人材定着・エンゲージメント向上・採用力強化、すべてにつながる重要な経営戦略です。
「うちの職場、言い出しにくいかも…」と感じたなら、まず一歩。次の1on1で「プライベートに変化はある?」と聞いてみてください。その一言が、職場の空気を変えるきっかけになります。
イクボスやアンガーマネジメントを職場に取り入れたい方には、実践的な研修プログラムもご用意しています。管理職としての悩みを一緒に解決しましょう。
よくある質問
Q. 男性育休の取得率を上げるために、まず何から始めればいいですか?
まず管理職自身が「育休を取らせたい」という姿勢を言葉にすることから始めましょう。制度を整える前に、職場の空気を変えることが先決です。1on1でプライベートについて聞く習慣をつけるだけでも、大きな変化が生まれます。
Q. 育休取得後に業務が回らなくなることが心配です。どう対応すればいいですか?
これは育休の問題ではなく、日常のマネジメントの問題です。特定の人に業務が集中している状態を放置していると、育休だけでなく病気や退職でも同じ問題が起きます。普段から業務の見える化と情報共有を進めることが、組織全体の resilience(回復力)を高めます。
Q. イクボス研修ではどんなことが学べますか?
男性育休の推進だけでなく、スタッフのワークライフバランスを支援しながらチームの成果も上げるマネジメント全般を学べます。管理職が変わることで、職場全体の雰囲気と生産性が変わります。詳しくは研修・セミナーページをご覧ください。
イクボス研修・アンガーマネジメント研修のご案内はこちらからご確認いただけます。













